もるだーPの日々徒然なるままに。

ニコマスでほそぼそと動画を作っている底辺Pのブログ。

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鳴らない電話

2010-04-01
SS
 電話がかかってくる。
 かかってこない。
 かかってくる。
 かかってこない……。
 そんな事をぼんやり思いながら彼是二時間が過ぎた。
 あ、二時間っていうのは私がTV収録に入った時間がちょうど電話を待ち始めた時間と一緒だったからで、ずっ
と待っててそわそわしていたとか、そういうことじゃ決してない。
 ……ないんだからね?
 それでも、『今日電話するよ』って珍しくアイツから言ってきたんだったら責任を持って電話してくればいい
のに、メール一本寄越さないで待たせるなんてどうにかしてるってもんだわ。
 大体自覚が足りないのよね。
 このトップアイドルの伊織様に電話するなら、前もってしっかりとしたアポイントメントをとって、もし遅れ
るなら遅れるでメールなりなんなりで連絡を入れればいいのに、事務所を出る時に一声かけただけでその後何の
音沙汰もないなんて非常識にもほどがあるってものよ。

「水瀬さん、次行きますー! 準備してくださいー!」

「はーい!」

 休憩時間が終わっちゃった。
 結局電話はなし、か。
 そりゃ私の担当プロデューサーじゃないし、元担当プロデューサーと恋人関係にあるなんて、表立って言える
話しじゃないけど、自分から『電話する』って言ったのなら、言葉の責任ってものを取るべきじゃない? それ
なのにあの変態ったら、一向に連絡を寄越さないんだから!
 あ~何かしら?
 ムカムカしてきちゃったじゃない。
 これも全てあいつのせいよね。
 ちらりと目の端に私の担当プロデューサーが映った。
 プロデューサーは、大きく溜息をつくと私に堪えるようヘンテコなブロックサインを送ってきた。
 わかってるわよ!
 本番なんだからこのムカムカを表に出すなんてヘマはしないわよ! 特にこんなクイズ番組のゲストなんて番
組じゃね!
 さてと……。
 この悪くなった気分、全てぶつけてやるんだから!


☆    ☆    ☆    ☆    ☆   ☆


「お疲れ様でしたー! 以上で番組収録は終了ですー!」

 周囲から一斉に労いの言葉があがった。
 私は大きく息をついた。
 機材トラブルの発生から圧してしまった収録は、結局三時間遅れで終了した。
 その間にあった何度かの休憩に、携帯電話を確認したけどまるであいつからの履歴は残ってなかった。
 なんだかなー。
 あれだけムカムカ来ていた感情も、さすがにここまでは持続しなかったみたいで、気がついたら疲労が一番の
問題に差し替えられていた。
 あいつ……こんなに無責任な奴じゃない筈なのにな……。
 もちろん互いに忙しい身。
 上手く連絡が取れないなんてことは山のようにあった。
 それでも必ずあいつは連絡をくれたって言う証拠が残っていたし、私も必ず残した。
 だってそうしなかったら、いつ私から離れて行っちゃうかわからないじゃない。
 自分でも自覚しているけど、私は意地っ張りだ。
 ついでに我侭で何をしても周囲を振り回している自覚はある。だけどこれが私だから自分から性格だけじゃな
くて、全てを変えようなんて思ったこともなかった。
 だけど……今は違う。あいつがいなくなるのがこんなに怖い。
 あいつが私を見てないと寂しいし、あいつが笑わないと悲しいし、あいつが傍にいないと胸が苦しくなる。
 プロデューサーに着替えると告げ、控え室に戻る。
 力なく椅子に腰を下ろすと、もうそれだけで何もする気がなくなった。
 するとそれだけで疲労した体が、心までジクジクと黒く侵食してくのを感じてしまった。
 悪い考えばかりが頭に浮かんでは消えていく。
 そんなことあるはずないじゃない! そう強がっても心のどこかで思っていた『でも……』という感覚が消え
てくれない。
 私、フラれたのかな……。
 力なくドレッサーに体を預け、うつ伏せになる。
 うん。フラれたっていうのが一番当てはまる推測かもしれない。
 そうだ。
 珍しく電話するなんて言ったのだって、別れ話を切り出すためだったんじゃないかしら?
 ああ、なんだ。そういうことなんだ。

「それなら……期待持たせるようなこというんじゃないわよ……。バカ……」

 涙が零れたその時、誰かがドアをノックした。

「まだ着替え中なんで、後にしてもらえませんか?」

 正直、今は誰にも会いたくない。
 だけどノックの主はもう一回ノックしてきた。

「だから、着替え中だって言ったじゃない! もうちょっと待てないの!?」

 普段はお嬢様として通しているから、これがプロデューサー以外に人に聞かれたら大問題なんだけど、傷心
の時くらいしょうがないじゃない。
 でもノックの主はこっちの事などお構いなしに、三度目のノックをしてきた。
 さすがの私も消えてしまっていた怒りが再燃した。もちろん燃料は失恋だ。爆発力はハンパじゃない。
 椅子を倒してドアに駆け寄ると、怒りをぶちまけながら開いた。

「だから! 今着替えしてるって言ってるのになんだっていうのよ! これ以上しつこいなら、警察にでもス
トーカーが制作スタッフの中にいるって訴えてやりましょう……か?」

 怒号が一瞬で萎んだ。
 最後の方なんて自分でさえ発音したかわからない。
 でも、ドアの向こうにいた人を見て、私は言葉を失った。

「それは勘弁してほしいなぁ」

 そこには、ずっと電話を待っていたアイツがいた。

「え? え? なんで?」

「ん? ああ、実は出先で携帯壊しちゃってさ。伊織の電話番号わかんなくなっちゃったんだよ」

 愛想笑いでごまかしながら、人の良さそうなアイツは頭を掻いた。

「……私の電話番号、覚えてないんだ?」

「……ごめん」

「……だから電話くれなかったんだ?」

「事務所に戻れば電話番号くらいすぐわかったんだろうけど、ちょっと雪歩が穴掘っちゃってさ。戻る時間なく
なっちゃったんだ」

「……時間がなくなった?」

「うん。メールでも良かったけど、電話で喜ぶ伊織の反応を見て、それからつれていきたいって思ってたからさ。
ついメールとかも忘れちゃって」

「バカ!」

 それ以上何も言えなかった。
 何が私はフラれたよ? 全然コイツはそんなこと考えてなかったじゃない! 私を喜ばせたいからってだけし
か思ってなかった!
 目の前にいるコイツに抱きつく。
 そうしないと嬉し涙が隠せないから。
 最初は戸惑ってたけど、途中から私の髪を梳きながら頭を撫でてくれた。その感触がまた優しくて、涙が溢れ
て来た。

「っと、本当に時間ないや。伊織、そのままでいいから行くぞ」

「え? って何処に行くのよ? それにプロデューサーに一言言っていかないと……」

「大丈夫。ここから先は俺が引き受けるって言っておいたから」

 なんて手回しのいい事。

「で、でも、こんな格好でどこに行くのよ!」

 着ているのは普段着じゃなくて、アイドルとしての仕事着だ。フリルが沢山ついている、絶対に普段人前に来
て歩けないタイプの服。

「だから時間ないって言っただろ?」

 アイツは私の手を引きながら廊下を歩き出すと、今度こそ愛想じゃない、心からの満面の笑みを浮かべた。

「これから親父達と食事なんだから」

 ――もちろん、その瞬間私の顔は真っ赤に染まったのは言うまでもない。
             
                                                END
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コメントの投稿

非公開コメント

1時間ってのは

やっぱり短いですね。ここまでのラブ経緯が欲しいところ。でもそうなると結局、キャラ一人分かかないといけないんだろうなぁ。一時間、一時間・・・萌え台詞を山のように増やすとかでニヤニヤ度を上げれるんだろうか。でもそれじゃギャグになってしまうのか。うーん。

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